いつか白馬の王子様に出会える党

先月、友人とその友人のお食事会があった。

お食事会というのも、男女3対3のまあいわゆる合コンだ。

合コンで勝ったためしはない。想像だけならわたしのことは橋本環奈だと思ってくれて構わないが、現実は厳しい。

そこまでよくない見た目とよくしゃべる性格も相まって扱いは盛り上げ担当だ。

合コンが終わった後は友人たちの恋を見守る係だし、友人と意中の人がいれば連絡先を交換できるよう促したりもする。

あれ?仲人?

まあそんなところで、特別かわいくも綺麗でもないわたしは、他の人が狙った男は狙わず、場を盛り上げつつもがっつかず、静かにしているのが一番の鉄則だった。雨にも負けずね。

じゃあなんで合コンに行くかって?

いつか白馬に乗った王子様に出会える党に一票入れてるからに決まっているでしょう。

こんなけなげでがんばりやさんのわたしに気づいて、見た目なんかじゃなく性格で――わたしのことを素敵だなと思ってくれる人がいつか現れる。

現れるはずないっていいつつも心のどこかで期待している。

改めて文字にすると気持ち悪すぎてびっくりしてしまう。

そんなわけで、敗戦覚悟で合コンに向かったわけだ。

一緒に戦う仲間を紹介しておくと、二人とも大学時代の知り合い。引っ込み思案で女の子らしいマドカと明るくて華やかな顔立ちだが、どこか親しみやすいカナ。名前はめちゃくちゃ適当。

相手の男性は、職場の同僚らしく、幹事のサカイさんは盛り上げ上手でよくしゃべるタイプ。

他の2人はというと――

1人目のミヤザワさんはザ・男子校で育ちました!という感じ。悪い人ではなさそうだけど、なんとなく、正直苦手な感じがした。たぶん向こうも、良くしゃべる女は得意じゃない。

2人目のフジサワさんは、最近の若者といった感じ。おしゃれで、けだるそうな感じ。ゲームが趣味で、ここにも連れてこられたのが見て取れた。話を聞くのがうまくて、モテそうな感じ。

サカイさんとミヤザワさんの狙いの女の子は明らかにそれぞれマドカとカナに向いていて、必然的にわたしはフジサワさんと話すことが増えた。

フジサワさんと話していてわかったのは、趣味がとにかく合う。わたしがデートでしたいことをいうと、うれしそうに頷いて楽しそう、と相槌を入れてくれた。

ただ、カナの興味は完全にフジサワさんに向いていて、わたしは、カナと戦うくらいなら…と完全に早々に敗北宣言をして、しばらくはサカイさんの話に乗っかる盛り上げ係を徹していた。

最後には、またこのメンバーで飲みましょう、なんて言って解散した。

みんなで一斉に連絡先を交換して、フジサワさんの連絡先を入手したものの、1週間待っても来ない連絡に、ただただ彼は話を聞くのがうまい人だっただけなんだと痛感した。

なんとなく合コン後の連絡なんかを女子メンバーで話題にあげても、フジサワさんから連絡がきた人はだれ一人としていなくて、本当に連れてこられただけの人だったんだ、とあきらめることにした。

が、なんとびっくり酔っぱらった勢いでラインをしていた。

そんなところから、あれよあれよといううちにデートの日程が決まっていた。

最初にもいったようにわたしはかわいくない。だからマッチングアプリでのデートはできても、合コンからのおかわりデートにはなかなかつながらない。

もしかしてやっと勝利宣言できちゃったりする?白馬の王子様現れちゃう?

なんて思いながら、ここ1,2日浮かれまくっている。

珍しく長々と書いてみたものの、要するにデートの約束がこじつけられてうれしい。以上である。ご