「いいなあ。愛される人は、いいなあ」

この記事は大変なネタバレを含みます

 

コロナウイルス感染症の影響により、昔のドラマなどが再放送されている。中でもTBSドラマの逃げるは恥だが役に立つは、当時も主演の新垣結衣が可愛すぎるだとかでよく話題になってはいた。

画期的な結婚やライフスタイル、高齢処女、結婚しないイケメン、LGBT、帰国子女、所謂普通の家庭...当たり前のようにマイノリティやふつうじゃない人たちがいて、”あの人はそういう人だから”とふつうに受け入れられていた。

放送当時はそちらの方に目がいっていたように思う。サブキャラだけでも一つのドラマが作れそうなくらいにいろんなひとたちがいた。

あと、特に放送当時は石田ゆり子演じる主人公みくりの叔母、ゆりちゃんに意識が向かっていた。

彼女は美人で仕事もバリバリできる。ただ未婚。そして処女だ。たしか新垣結衣演じる主人公のみくりが大学院卒就職(契約社員)、その後契約解除というところから話が始まるので、24〜6の女の母親の姉妹としたらだいたい40後半〜50代といったところだろう。

彼女が若い女の子に放った言葉がすごく心に残っている。

たしか内田理央だったかな。女は若くなければ価値がない、若いうちに素敵な男性と結婚したい。という女の子に対して「自分のゆく道に呪いを掛けないで」といった彼女をみて泣いた記憶がある。

わたしも思っているのだ。若くなければ価値がない。若くて、可愛くて、明るくて、人間としての価値は違うとしても、”女”としての価値はそうじゃないと価値がない。

きっと彼女も、わたしも、色々な人生の中で、出会いの中で、そんな考えが染み付いたのだろうけど、人間は皆老いる。

若さに価値を見出すということは、自分の先に価値がないと決めることにもつながる。そんなふうに当時は思った記憶がある。

ただ、2度目に見た記憶はまた別だ。

「いいなあ。愛される人は、いいなあ」

星野源演じる平匡さんの台詞だ。イケメンの同僚に対しての心の声。

平匡さん、35歳。恋愛経験はなし。もちろん童貞。

彼は恋愛経験が乏しいからか、自尊心が低く、みくりが距離を縮めようとすると距離をとる。人深く関わることが怖いのだ。

これは、みくりがイケメンといい感じ(ざっくり)に見えるように感じた時に、平匡さんが心の声として出したものだ。

いいなあ。愛される人は、いいなあ。

何度でも言っちゃう。言えばいうほど心が辛くなる。

わたしの今の気持ちはこれが全部だ。

いいなあ、愛される人は。いいなあ。妬みでも嫉みもなく、ただただ羨ましく、自分にないことが辛い。愛される人は、選ばれる人はいいなあ。

ここで私事になるが、先日、流行りのオンライン街コンとやらに参加してみた。

そもそも在住県がかなりの田舎であるから、隣接県と合同のような形での街コンだったが、参加人数は4名。男性は35歳と28歳の方、女性はわたしと31歳の方。

わたしは今20半ばで、正直まだまだ若さへの呪いが解けきれていない。

少しでも価値がある(若い)うちに、なんとか人から選ばれる(=結婚)をしたいと考えている。 

正直、一瞬彼女の顔が映って、31歳という年齢を見て、彼女と話した後であろう男性に年齢を告げた瞬間「若いですね!」と言われて、”勝った”と心の中で正直思ってしまった。

最低だと自分でも思う。これは呪いだ。31歳で結婚していなくて、すごく素敵な女性、たくさん見てきた。素敵な男性ももちろんいた。

わたしはとても女=若くないと価値がないという誰が作ったかわからない価値観に毒されている。今も、昔も、ずっと。年を追うたびに呪いが加速する。

だけど、結局選ばれたのはわたしじゃなかった。なんで選ばれなかったのかはわからない。話も盛り上がった。楽しく会話できたと思う。顔だって対面で会うよりも映りもよかった。

だけど全然だめだった。わたしはまた選ばれなかった。

いいなあ。愛される人は。いいなあ。

わたしも誰かに選ばれたかったよ