32歳腐女子さんのはなし

他人の価値観や考え方にあまりケチはつけないようにしているし、誰にケチをつけられるものではない。

ただ、ふつうとか一般的とかそういうものがあるっていうのは、まあある程度みんな思い至るところだからその辺の集合地点がふつうとか一般的って呼ばれるのかなとも思う。

ただ、ふつうとか一般的とかいう言葉がわたしはあまり好きではなくて、できるだけ使いたくない。特に他人の人生に口出しするときは。

「それくらいふつうに考えればわかるでしょ」「一般的に」「ふつう」「みんなそうだよ」それらの言葉は言っているときは正直気持ちがいいし、自分が正義の味方になったかのような気分にしてくれる。

でも、それが自分に向けられた時固く鋭い刃になる。

だからできるだけ「ふつう」「一般的」という言葉はつかわないようにしている。

そんな中、ちょっと話題になっている記事を発見した。

32歳腐女子自分の子供っぽさに気づいて恥ずかしくなる

匿名のはてなダイアリーに投稿されたもので、32歳の腐女子が久々に同世代の友人と会ったら、自分の子供っぽさ(服装、テンション、お金の使い方等)に恥ずかしくなるという話だ。

わたしはあっち側なのか、そっち側なのかという不安と、自分にも身に覚えがあった。

わたしはとりあえず今の仕事は時間もお給料も安定した仕事で、正社員として働いている。社会人としての生活も落ち着いてきて、恋愛をこじらせてはいるが、なんとか暮らしている。

「一般的」な25歳(もうアラサーの仲間入りだ)はどんな風かと言われれば、最近は結婚の波が襲ってきていたり、まあ楽しく仕事をしていたりという事が多い。

18歳で大学に入学、22で卒業。若しくは高校卒業から数えれば7年、3年も社会人をすれば、かなり生活も落ち着いて、彼がいれば結婚や子育てなど次のライフステージに移ってもおかしくない頃だと思う。

貯金やお金の使い方にもある程度余裕が生まれてきて、自分に投資したり、少し高い買い物をしたり、趣味を楽しむのも今の特権かもしれない。

あたりまえのことだけれど、ライフステージが変われば、お金の使い方、生活、大切なもの、価値観はもちろん変わっていくし、それに合わせて、友人なども変わっていくことも多いとおもう。

それでも長く続く友人がいたりするのは、きっと同じように変わっているからだと思う。

同じタイミングでライフステージを歩んでいけば、少しのズレがあったとしても同じようなタイミングで同じような悩みなどを共感することができる。

どんなに大切な趣味があっていても、そこへの熱意や燃え方は変わっていくものだし、それは大切なものが増えれば増えるほど、どんなに好きでもそれは仕方がないことだと思う。

いくら大好きなアーティストのライブで、外したことがないとしても、出産した次の日にライブに行くことはできない。

わたしも、学生から社会人となり、週に5日間8時間、出勤して仕事をしている。

確かにそんなに大変な仕事でもないし、まだ働き始めて少ししかたっていないし、重たい責任はのしかかってはいないが、それでも、学生の頃とはえらい違いである。

 

色々と感じる事はあるけれど、責任が兎に角ついてまわるということだ。仕事も、人間関係も、重荷となっていく。

また、1人暮らしを始めて、学生の頃のように好きな物に好きなだけお金を掛けられるわけでもなければ、貯蓄のこと、保険のこと、個人年金のこと、自分の事だけじゃなく親やきょうだいのこと、奨学金のこと。考えなくてはならないことがたくさんある。

だから昔ほど恋愛だけ、趣味だけ、楽しいことだけに時間やお金を費やしてもいられない。

わたしがこの話を読んで思ったのが、学生の頃からの友人の事だ。彼女とは学生の頃から趣味が合って、紆余曲折あったが今でも何かと連絡を取り合う仲ではある。

彼女との関係に陰りが見え始めたのはわたしが社会人になったころからだ。

学生の頃に比べて、もちろんだけど生活も考え方も変わる。年齢は1つ上なのに、正社員として働くのは嫌だとか、目標の為になどと理由を付けては仕事を辞めて、結局水商売をしながら親族の支援を受けて生活をしている彼女を見てイライラしてしまうようになった。

正直うらやましいのだと思う。仕事をしなくても、好きな事だけをして(いるように見える)ボーっと生きていける彼女のことが。

彼が出張だと言えば、自腹で新幹線に乗りホテルを取って、出張先で仕事が終わるのを待つ。そんな彼女を彼が死ぬほど愛しているのかと言われればそうでもない。ずっと一緒にいたい気持ちはわかる。けれどふつうの社会人をしていたらそんなことはできない。時間も、お金も無駄にしているようにしか見えない。

彼女は想像するような水商売の派手なタイプではないし、堅実な人でしっかり貯蓄もあって、資格勉強していたことも知っている。

今年でわたしと同じくアラサーの仲間入りした彼女が、学生を卒業してからの10年近くの空白期間があることに不安がないのか、親族からの支援を受けられなくなったらどうするのか、水商売も一生やっていける仕事なのかと実際自分がその立場だった場合に心配になることを口うるさく言ってしまう。

自分だって彼女との違いは正社員として仕事をしているくらいで、落ち着きはないし、お金の使い方だって粗雑だ。

32歳腐女子さんのような生き方や生活を否定するわけではもちろんないし、誰かの生き方を否定することは、自分の生き方を否定することにもつながりかねない。だから、したくないのだけれど、色々言ってしまう気持ちもわかる。