「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?
アイドルが好きだ。
かわいくてキラキラしていて、明るくて元気で素敵な存在。
アイドルなら割となんでも好きだ。地下ドルもかわいい。ちょっと闇感じたりもするけどかわいい。
歌も明るくてかわいくて薄っぺらい恋の歌なんか歌ったりしちゃって。
阿部真央とかあいみょんは歌わない明るくかわいい恋の歌を歌う。
その薄っぺらさがまたかわいくてそれはアイドルにしか歌えない恋の歌なんだと思う。薄っぺらいとは言うけど、それがまたアイドルソングの魅力だとわたしは思う。
AKB48の恋するフォーチュンクッキーとか、モー娘。のザ☆ピースとか、日向坂46のドレミソラシドとかかわいくて明るくて幸せそうな曲。
きっともっとファンからしたら、いやいや、アイドルをばかにするな!泣けるバラードだってある!という話にはなるのだろうが、ここでは置いておいてほしい。
わたしの印象としては、とにかく明るくてかわいくて初恋の甘酸っぱさなんかを歌うのがアイドルソングの魅力なわけだ。
ある日ファミレスで友人と食事をしていた時、有線で流れてきた曲にドキっとした
――ひとりで生きられそうってそれってねえ、褒めているの?
冒頭の歌詞で、ぐっと引き込まれて、友人の不倫話も、目のまえに置かれたハンバーグもいったん置いて、携帯を開いた。
safariの検索画面で「ひとりで生きられそうってそれってねえ、褒めているの?」と検索する。
そしたらすぐにアーティスト名とタイトルの乗ったYouTube動画が出てきた。
「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの? (LIVE) Juice=Juice
アイドルじゃん!!!!
アイドルじゃん!!!!!
家入レオでも加藤ミリヤでもあいみょんでも阿部真央でもなく柴田淳でも鬼束ちひろでもなくアイドルじゃん!!!!!
しかもハロプロ。
わたしの中でのハロプロと言えばモー娘。若くてかわいい女の子たちの集まり。
AKBと同じようなイメージで、かわいくて薄っぺらいラブソングを歌うグループ。
少なくとも「ひとりで生きられそう」なんて言われる子たちではない。
そんな彼女たちが歌う「ひとりで生きられそうってそれってねえ褒めているの」は、なぜか皮肉にも感じずすっと心に入った。
ひとりで生きられそうといわれるのはいつだって、アイドルみたいに華やかでもなければ見た目が特別かわいいわけでもない――普通の、普通より少し強がりで不器用な女の子たちだ。
アイドルソングとはおもえない激しい間奏の後にもまた攻撃力の高い歌詞が続く。
あなたなしではダメ見たいと涙したドラマのヒロイン
い、いる~~~~~~~~~!!
こういう女、ドラマだけじゃなく、本当にいる~~~!!!
で、だいたい不器用で意地っ張りな女たちは、そういう女に彼氏や好きな人を奪われていく。そういう女のほうがよっぽどしたたかで生きていくのに。(というのはほとんど僻みだ)
少しヤワな子ばかり、幸せを手にしてく
いや、本当にそれ
その女、絶対死なないしなんだったらうちらの方がよっぽど死ぬから!よろしく!と思う。けど相手に迷惑をかけたらいけない、なんて思えばこそ、そんなはた迷惑なメンヘラはできない。でも、それを言える女ばかり、幸せを手にしている。正直僻み根性丸出しだ。悔しい。
ただ、それと同時に、こうも思った。
お前らそっち(ヤワな子)側だろ!
ただ、よくよく考えれば、わかる。
アイドル戦国時代に”少しヤワな子”が生き残れるはずがないのだ。
血のにじむような努力の上であの”カワイイ”が出来ている。
正直、顔がかわいい女はみんな”少しヤワな子”に見えるし、そんな女に見える(失礼)アイドル達が、こんな曲を歌ってくれることにこそ、意味があるのではと思った。
少しヤワな子は、少しヤワな子なりの戦い方があって、ヤワに見えない子たちも、ヤワじゃない部分があるし、ヤワじゃない子なりの戦い方がある。
幸せをつかむのに、戦い方はそれぞれだけど、ひとりで生きられそうって、それってねえ、褒めてるの?って感じだよね。